パーツフィーダーは自分で設計できないが故に、理解もしづらい
自動化設備に欠かせないパーツフィーダーですが、きちんと理解している設計者って割と少ないと思います。
というのも、パーツフィーダーを装置に組み込む時は、パーツフィーダー専門の業者に製作を依頼するのがほとんどで、自分でパーツフィーダーを設計する事は基本的にありません。
「餅は餅屋」ということわざにもありますが、パーツフィーダーの設計にはかなりのノウハウや経験が必要で、機械設計者が設計業務の片手間で設計できるような代物ではないのです。
ただここで大事なのは、よく分からないからと言ってパーツフィーダー屋さんに丸投げしないことです。
少なくともパーツフィーダーが物を運ぶ原理くらいは理解しておきましょう。
パーツフィーダーの導入で気をつけること
では実際にパーツフィーダーの製作を依頼する場合に、気をつけるべきポイントを紹介します。
設置スペース
パーツフィーダーには広いスペースが必要です。
”ボールフィーダー+直進フィーダー”の組み合わせが入るスペースがあるかを確認しましょう。
特に作業者が投入作業をするスペースや、ワーク詰まりを取り除く作業スペースは意外と忘れやすいので、気をつけましょう。
連続稼働時間
一回のワーク供給で、どれだけの時間持つのかを連続稼働時間といいます。
連続稼働時間が長いほど投入作業が少なくなるので、作業者の負担を減らす事ができます。
逆に短過ぎると、工場の昼休みに部材不足で設備が止まってしまい生産数も減ってしまうデメリットがあります。
そのため連続稼働時間は最低45〜60分の指定が多いです。
排出量
パーツフィーダーからの排出量は導入する設備側のサイクルタイムに合わせましょう。
この時サイクルタイムギリギリではなく、できれば1.5倍の余裕はあると安心です。
例えばサイクルタイム1秒の場合は余裕を持って0.66秒でワークを1個排出するイメージです。
製品の姿勢を設備と合わせる
これはパーツフィーダーから排出されたワークの姿勢が、「上下逆さま」や「左右の向きが違う」といった状態のことです。
ここを間違えると取り返しがつかないので、姿勢の確認は最重要チェックポイントとしましょう。
この問題が発生するのは、情報の伝達不足が原因であることがほとんどです。
手書きでもいいのでワークの排出向きが一目で分かる資料を作成して、パーツフィーダー屋さんときちんと情報共有する事でほぼ防げる問題です。
段取り替えが簡単か
複数の種類のワークを一つのパーツフィーダーで対応する場合、ワークの通り道のレール部分をワークごとに取り替えて対応します。
段取り替えがある場合はつぎのポイントに気をつけましょう
- レールの取り付け方法に再現性があるか
- 簡単に取り外しできるか
- 交換する部品には刻印などの目印があるか
- エアブローやセンサーの切り替えがワンタッチでできるか
できるなら設備側の段取り替えと似た方法にすることで、作業者にとって分かりやすい設備になります。
パーツフィーダー屋さんからよくある相談
パーツフィーダー屋さんから、「ワークの投入量が確保できない、ホッパーを付けるかボールサイズを大きくさせてもらえないか?」といった相談を受ける事がよくあります。
こういう時は大抵、「ワーク大きすぎる」または「ワーク同士が絡まりやすい形状になっている」というのが原因です。
1番いいのはホッパーを付けることですが、ホッパーはボールフィーダーに上からワークを落とすという特性上、落下の衝撃でワークが破損しやすい欠点があります。
そういった場合はボールサイズを一回り大きくするのですが、今度は振動が安定しないといった別の問題がでてきます。
※ボールの内側と外側では振動の特性が変わってきます。 内側は細かい振動なのに対し、外側の方にいけばいくほど振動が大きくなるので、振動数の調整がピーキーで難しくなりワークの細かい選別が難しくなってしまいます。 例えるなら、文房具の“下敷き“を手でバインバイン揺らすのをイメージすると分かりやすいと思います。
ですのでボールサイズを大きくするくらいならホッパーを付けて、「出来る限りワークに傷を付かない落下のさせ方を目指す」のがいいかなと思います。
さいごに
今回紹介した気をつけるべきポイントは、「ここでミスしたら取り返しがつかないぞ」という内容を抽出したもので、あくまで全体の一部に過ぎません。
実際はもっと細かい仕様を作成し、パーツフィーダー屋さんと取り決めをしておく必要があります。
間違っても「忙しいから」や「よく分からないから」といった理由で、パーツフィーダー業者に製作を丸投げするのはやめましょう。
後々大きなトラブルとなって、結局は自分のところに返ってくるので。
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