本記事はPRを含んでいます
スポンサーリンク

エアシリンダーの選定や使い方における注意点【確認必須!】

エアシリンダーの選定や使い方における注意点【確認必須!】 機械設計の知識

エアシリンダーの選定は機械設計者であれば避けては通れません。

基礎的なスキルであるエアシリンダー選定ですが、注意を怠ると意外な失敗をしてしまうことがあります。

そこでこの記事では、実際の経験から得た「エアシリンダーの選定や使い方における注意ポイント」を紹介します。

特に、エアシリンダーの選定に慣れてない設計初心者の方に知っておいて欲しい内容なので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

エアシリンダー選定における注意ポイント

エアシリンダーを選定する際の注意ポイントをいつくか紹介します。

シリンダメーカーのマニュアルには載ってない注意ポイントも載せています。

エアシリンダーの連結は基本的にNG

エアシリンダーの連結は基本的にNG

一つの駆動先に複数のシリンダーを使うのは基本的にNGです。

その理由は複数シリンダーの同期をとるのが難しいからです。

モーターのように電気信号と電力だけで動く場合は、動かす指令に即応答するので複数使用でも問題はありません。

しかしエアーは指令に対して若干の遅れやバラつきがあるので、複数のエアシリンダー間には必ずズレが生じてしまいます。

そうなると駆動部に変な抵抗力がかかり、磨耗や“かじり“の不具合が発生してしまいます。

可能な限り駆動数とシリンダー数は1対1にしましょう。

※どうしても複数シリンダーを使いたい場合は、エアバルブやスピコンは共用とし、エアチューブの長さも同じにする等の工夫をしましょう。

重量物を高スピードで動かすには不向き

エアシリンダーは安価に高出力が得られますが、駆動スピードが早い箇所に用いる場合には注意が必要です。

E=1/2mv2」の運動エネルギーの式からも分かるようにスピードの”v”は2乗でかかってくるので、ちょっとスピードを上げただけでも負荷は大きく上昇します。

この負荷を止めるのはシリンダー内蔵のゴムダンパー、または外部のショックアブソーバーになるのですが、高い負荷は内蔵のゴムダンパーでは受け切れなくなります。

そうなると負荷を止める方法はショックアブソーバー一択になりますが、ショックアブソーバーもそれ自体のサイズが大きくなり、取り付く部品も頑丈にしなくてはなりません。

つまり衝撃を受ける為には、衝撃を受ける部分のサイズと費用の両方が上がってしまいます。

スピードが必要な箇所はいっそのことモーターにしてしまった方が、機構がシンプルになり設計的にも楽になるケースが多いです。

特に回転系はこの傾向が顕著に現れます。

負荷の中心に配置する

これは基本的な事ですが、エアシリンダーの設置スペースに気を取られていると、この設置位置のミスをしやすいです。

負荷の端にエアシリンダーを設置すると“かじり“が発生してシリンダーと機構側ともに寿命が縮みます。

エアシリンダーは必ず負荷の中心に設置すること、どうしても無理な場合はリニアウェイ等の直進ガイドを併用してスムーズに動くようにしましょう。

シリンダセンサーは極小ストローク不可

見落としやすいのがストローク量によるシリンダセンサーへの影響です。

シリンダセンサーは磁力を検知している特性上、微妙な位置は検知できないので、だいたい狙った位置から0.5mmくらいズレていても検知してしまいます。

もし駆動ストロークが0.5mmの場合、シリンダセンサーの行き側、戻り側の両方のセンサーが反応してしまいエラーが出てしまいます。

経験上、最低でも2mmのストロークは確保し、もし無理な場合はシリンダセンサーの代わりに検出範囲の狭い「近接センサー」等を別途付けるようにしましょう。

出力が低い方を基準に選定する

エアシリンダーには押し側と引き側があります。

引き側の方が押される面積が小さくなるので、出力も押し側に比べて小さくなります。

力の計算をするときは必ず、出力の小さい引き側で計算しましょう。

引き側の出力で計算すれば、「出力が足らない!」といった失敗は回避できます。

エアシリンダーの使い方NG例

次にエアシリンダーを実際に使う際の注意ポイントを解説します。

スピコンが全開になっていないか

スピコンはシリンダーの駆動スピードを調整する機器で、エアの通り穴を狭くしたり拡げたりすることでスピードを変えることができます。

大抵は全閉〜全開の間で調整するのですが、稀に調整のし忘れで全開になってしまっている事があります。

全開=トップスピードなので、意図しない負荷や振動発生の原因となってしまいます。

必ずスピコンが調整されているかを、機会の調整中に確認しましょう。

芯ズレした取り付けになっている

エアシリンダーの芯ズレ注意

エアシリンダーは駆動に対して平行に摺動するように組み付けましょう。

もしも斜めに取り付けてしまうと、摺動部の“かじり“発生の原因となります。

組み付けの際はエアが抜かれた状態で手で動かしてみて、「駆動側滑らかに動くか」や「エアシリンダーのロッドが斜めに動いていないか」を必ず確認しましょう。

といっても完璧に平行にするのは難しいので、フローティングジョイントを駆動側とエアシリンダーの間にかませば、ある程度の誤差を吸収することができます。

グリスの塗り忘れ

エアシリンダーはロッドが摺動して動作するので、定期的なグリスアップが必要となります。

グリスが無い状態だと駆動の負荷が増え、駆動スピードが変化したり、最悪はエアシリンダーの破損してしまいます。

メンテナンススケジュール等を利用しグリスアップを忘れないようにしましょう。

さらに忘れやすい箇所でいうとエアシリンダーをジョイントする「フローティングジョイント」もグリスが無いと”かじり”発生の原因となってしまうので注意しましょう。

以上がエアシリンダーの選定や使い方における失敗しやすいポイントです。

設計者の方、特に経験の浅い初心者の方は、これらの注意点に気をつけてエアシリンダーを使用しましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました