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ヘリサートの使い方と使用場所の定義

ヘリサートの使い方と使用場所の定義 機械設計の知識

ヘリサートとはコイル形状のねじ補強材のことで、スプリューとも呼ばれています。

アルミや樹脂など強度の弱い材質のタップは、強い力を加えたりネジを何度も取り外したりすると変形してしまいます。

そこでヘリサートをタップに入れ込み補強することで、鉄材料のタップのように強くすることができます。

ヘリサートの使い方と注意点

まずはヘリサートの使い方と注意点について解説します。

ヘリサートの使い方

ヘリサートは専用工具を使ってヘリサートタップに挿入します。

この時ヘリサートは板厚より少し短いものを選びます。

専用工具の先端にヘリサートをセットし、レバーをクルクル回しながらヘリサートをタップに挿入します。

ヘリサートの使い方と注意点

ちょうどいい位置までヘリサートを挿入したら、工具を逆に回して”タング”と呼ばれる出っ張り部分を折り切りします。

ヘリサートの長さ

ヘリサートは一般的にはタップ径の1倍(1D)、1.5倍(1.5D)、2倍(2D)の3種類があります。

当たり前ですが板厚より長いヘリサートは入れられないので、板厚より短い長さのヘリサートを選びましょう。

ただしタップの入り口と出口は面取りしてある場合がほとんどなので、その面取り分を考慮し板厚より1mm程短いヘリサートを選びましょう。

もし1Dすら入らないような板厚の場合、荒技ですがヘリサートを途中で切断する方法もあります。

しかしこの方法はおススメできないので、設計の段階で最低でも1Dが入るように検討しましょう。

ヘリサートの注意点

ヘリサートを入れるタップは出来るだけ通し穴にしましょう。

もし挿入中に失敗してしまっても、通し穴であればそのまま通り抜けさせる事ができます。

しかし止まり穴で失敗してしまうと逆回転させて戻すしかないのですが、これはかなり難しいです。

なぜなら逆回転させると高確率でタングが折れてしまい、ヘリサートを動かすことができなくなるからです。

こうなってしまったらヘリサートを取り出すのはかなり難しく、無理矢理ボルトを引っ掛けて取る方法もあるのですが、タップが傷ついて使えなくなる恐れがあります。

また基本的なことですが、ヘリサートを入れる時は真っ直ぐ入れるようにしましょう。

挿入中に斜めになると、ヘリサートがタップからずれてしまい失敗してしまいます。

ヘリサートの使用箇所の定義はあるのか?

ヘリサートは便利ですが、何でもかんでも付ければいいというわけではありません。

自分なりにヘリサートを使うべき箇所を定義づけし、ヘリサートの数が多くなりすぎないようにしましょう。

ヘリサートを使うべき箇所

以下のような箇所にはヘリサートを使った方がいいでしょう。

【ヘリサートを使うべき箇所】
・激しく可動する
・段取り替えでボルトを付け外しする
・強い衝撃が繰り返しかかる

強い力が掛かったり、何度もボルトを付け外しするとタップが摩耗して破壊してしまいます。

ですのでアルミや樹脂部品を選定する時は、あらかじめ使用状況を想定してタップが壊れないようにしましょう。

ヘリサートを避ける方法

ヘリサートの数が多くなってくると、ヘリサートを入れる工数や失敗のリスクが増えてしまいます。

私の会社でも、「可動部で軽いアルミにしなきゃいけない、だけど取り付く部品は頻繁に付け替えする必要がある」とのことで、何百個ものヘリサートを手作業で入れてることがあります。

一日中ヘリサートを入れる作業…考えただけで苦行ですよね。

ヘリサートを避ける方法

そこで材質を強いアルミ(A2000系、A7000系)に変える事で、軽量でも強いタップにすることができます。

A2000系やA7000系の材料費は通常材のA5000系に比べて割高ですが、ヘリサートを入れる工数を考えると逆に安く済む場合もあります。

ヘリサートタップを採用する前に、本当にヘリサートが必要なのか?材料の変更の方が安く済むのではないか?をよく考慮しましょう。

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