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直動軸の軸受の種類と使い分け

軸受の種類と使い分け 機械設計の知識

直動軸の軸受には主にブッシュ、リニアブッシュ、ボールスプラインの3つの方法がありますが、これらの違いと使い分けは少し分かりにくい部分があります。

この記事では設計初心者の方でも分かるように、それらの特徴と使い分けについて解説します。

軸の直動機構

ブッシュ、リニアブッシュ、ボールスプラインの3種類の違いと特徴をそれぞれ説明します。

精度耐ラジアル荷重滑らかさ(摺動摩擦)高速使用回転方向使用コスト
ブッシュ
リニアブッシュ×
ボールスプライン×
(※参考)LMガイド×
軸の直動機構比較表

ブッシュ

ブッシュは転がり軸受のリニアブッシュやボールスプラインと違い、すべり軸受に分類されます。

すべり軸受なので摩擦力が大きく高速使用には向いていませんが、ボールが不要なので構造が簡潔でサイズも小さく、スペース的に有利です。
また軸全面で負荷を支えるので許容荷重が大きいのも特徴です。

ブッシュを使う場合、機械設備ではメンテナンスに有利な無給油タイプのブッシュが多く使用されています。

またブッシュは部品に圧入して使用するのですが、回転方向に力が掛かってしまうとブッシュ自体が部品内で回転してしまうことがあります。
以下のようにブッシュ圧入後にタップ加工し止めネジで固定することで回転防止ができます。(軸の固定で定番な横方向からの固定は、軸とブッシュの隙間が潰されるのでNGです)


ブッシュの回転防止方法
ブッシュの回転防止方法

ブッシュはコストも安いため量産品に多く利用されています。

リニアブッシュ

リニアブッシュは転がり軸受の一種で、ボールが軸受に使用されています。

軸とボールが点接触のため許容荷重はブッシュより小さくなってしまいますが、最小摩擦により高精度&高速度の使用が可能になります。

フランジタイプの種類が豊富でなので周辺形状に合わせた選定ができ、多くの機械設備で幅広く使用されています。

ボールスプライン

ボールスプラインの構造はリニアブッシュに似ており、軸にボール溝が付いているのが特徴です。
軸の回転を防止しながら直線運動でするので、”LMガイドの軸バージョン”といったようなものです。

またボールスプラインは軸とボールが点接触ではなく面接触しているので高い耐荷重性があります。
下の画像はTHK様より引用してますが、複数個のリニアブッシュを1個のボールスプラインに置き換えることでコスト&サイズダウンをすることができます。面白いですよね。

ボールスプラインの用途
※画像はTHK様より引用

他の2種類と違って軸にも溝加工が必要なのでコスト高ですが、軸とガイドが回転しないため回転トルクも伝達することができ、ロボットハンドのような省スペース&高精度の箇所で多く採用されています。

まとめ

軸受を設計する時には以下のことを考慮します。

  • 荷重(たわみ量)
  • 速度
  • 寿命

今回紹介した3種類の軸受にはそれぞれ向き不向きがあるので、使用する状況に合わせて適宜選定できるようにしましょう。

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