機械設計をしていて、「設計なんて辞めてやる!」と思ったことがありませんか?
おそらくほとんどの機械設計者は一度は思ったことがあるだろうし、私自身、何回も思ったことがあります。
ただ「なぜ辞めたくなるのか?」の理由は漠然として、いまいち深堀できていませんでした。
そこで今回は自分の頭の中の整理も兼ねて、「なぜ機械設計者は仕事を辞めたいと思うのか?」をまとめてみました。
上記のような似た悩みがある方の参考にもなるかと思いますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
機械設計に求められる能力は設計力だけでは無い
設計者だからといって、「パソコンで設計だけしていればいい」というわけではありません。
会社では純粋な設計業務以外にも様々な雑務をこなさくてはいけませんが、この設計以外の業務によるストレスが原因で、機械設計を辞めたいという人が多いんです。
そこでまずは、普段の業務のなかで『設計以外の業務』はどれだけあるかを考察しました。
これらはどれも複数部署に関わることで遂行できる業務なので、一言でまとめると『いろんな部署をまとめる調整業務』と言えるでしょう。
スケジュールをまとめたり会議で議論したりするには、どれもいろんな部署が関わり、その複数部署の意見だったりをまとめて、目標を達成させるわけですね。
【本題】設計以外の業務がかなり苦痛
このように機械設計者が設計以外でする 『いろんな部署をまとめる調整業務』ですが、この業務自体が機械設計を辞めたくなる大元の原因なんじゃないか、と最近気づきました。
苦痛に感じる理由
というのも、私が仕事をしていて楽しい!と感じるのが、3Dでモデリングしたり、モーターの選定や計算をコツコツしている時です。
こういった設計業務をしていると、時間が経つのも忘れあっという間に一日が過ぎてしまいます。
一方で苦痛に感じるのが、設計以外の業務(上記でいうところののスケジューリングや各部署との均衡を計る作業)をしている時間です。
設計以外の業務をしている時は、「あの部署を優先させたらこっちの部署の負荷が増えるな…」とか「納期に間に合わせるにはあの人に残業してもらわなきゃな…」といった事が頭の中でグルグル回り、正解も分からない状態が続きます。
この状態は自分にとってかなり苦痛なのですが、なぜ苦痛なのか?を考えてみた結果、『頑張っても何かしら文句を言われる業務だから』が一番しっくりくる理由でした。
※他にも『成果物がでづらい』、『設計スキルが上がらない』などの理由もありましたが、ダントツなのが文句を言われることに対する苦痛でした。
いくら頑張っても、このような文句を言われたらたまったもんじゃないですよね。
一方、自分が設計した機構に不具合があったとか、計算が甘かった、とかなら「ここが悪かったんだな、次からは気を付けよう!」と素直に失敗を受け止められるんですがね。
それに経験を積んで設計スキルが上がれば、こういった設計的な失敗を減らすことができますが、設計以外の業務だとどれだけ頑張っても、上層部の面々、もしくは他人の気分しだいで文句を言われてしまいます。
コントロールできないところで”もがかない”のが大事
これらの事を踏まえて行き着いた結論は『設計以外の業務の出来不出来は運要素が強く、ほぼほぼコントロール不可能』です。
多くの人はこの『コントール不可能な業務でのストレス』が原因で機械設計の仕事を辞めてしまうんだと思います。
それでも私が機械設計者を辞めない理由は、コントロールできない負の業務は無感情で遂行し、やっていて楽しい設計業務に注力すると決めているからです。
設計以外の業務で文句を言われたり、ちゃぶ台返しをくらっても、「あぁ、そうですか」と流すことでストレスはだいぶ減ります。
大事なのは自分がコントロールできないところで”もがかない”ことです。
設計の経験を積むことで、昔は意味が分からなかったカムが設計できるようになったり、設備まるごと設計できるようになったりと、自分にできる事が段々と増えていくのはやっぱり楽しいです。
この楽しさはモノづくりに携わる方なら共通していると思います。
「機械設計はやめたい、だけどモノづくりは好き」な人はどうするか
先ほども書きましたが、機械設計者は純粋な設計作業だけではなく、その他様々な設計以外の業務をしなくてはなりません。
この『その他様々な設計以外の業務』が人によってはかなりのストレスとなり、それが原因で設計者もしくはモノづくりの仕事自体を辞めてしまいます。
でもそれってなんかもったいなくないですか?
せっかくなら、設計以外の『ストレスとなる業務』を排除しつつ好きな設計業務に集中できる仕事を探すべきです。
設計業務に集中できる仕事には次の2つがあります。
設計専門の設計事務所へ転職する
設計事務所は、設計業務のみを専門に扱う業種です。
仕事の内容としては、 お客さんから「こういう設計をしてくれ」という設計の依頼を受け、2Dや3D CADで設計し、その後完成させた図面を納めるといった感じです。
設計事務所で働く設計者も括りとしては同じ機械設計者となりますが、会社に設計部署しかないのが大きな違いです。
ストレスとなる『部署間の橋渡し的な業務』が無いので、その分CADでの設計業務に集中することができます。
また取引先には複数の会社がいることが多く、その分様々な会社の設計のやり方やノウハウを学べるので、 自身の設計スキルも伸ばすことができるのが特徴です。
※他にも『フリーランスの機械設計者』や『機械加工者』への転職も、機械設計スキルを活かすことができます。
こちらの記事も合わせてご覧ください。
CADオペレーターになる
CADオペレーターは設計者の指示で図面を描く専門職です。
設計者との違いは、CADオペレーターは設計そのものは行わず、既に設計されたものを図面化するところにあります。
具体的には、手書き図面をCAD図面に置き換えたり、2D CAD図を3D CAD図に変換したりする作業を行います。
設計者がするような力学的な計算や、メカ機構を生み出すようなことは基本的にはしないので、『設計業務の一部を担当する業種』というイメージですね。
CADオペレーターは設計者の指示に従って作業をすることがほとんどなので、ストレスを感じるような業務もほとんどありません。
また機械設計者からCADオペレーターへの転身は結構おすすめで、そこには機械設計者ならではのメリットもあったります。
以下のページに詳しく書いてあるので、機械設計スキルを活かした転職を考えている方は是非目を通してください。
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