機械設計者の中には「フィールドネットワークってよく分からないし、どんなメリットがあるのかいまいちピンとこない」と悩む方は多いと思います。
それもそのはず、フィールドネットワークは電気制御寄りの内容なので、ふだん制御設計をしない我々メカ設計者には難しい内容の話なのです。
しかしセンサーの型式はフィールドネットワークの種類によって変わるので、センサーの選定をする我々メカ(機械)設計者もある程度のフィールドネットワークへの理解が必要になります。
そこでこの記事では、メカ設計者向けに「フィールドネットワークとはなんぞや?」を解説していきます。
何故フィールドネットワークが必要なのか?
そもそもなぜフィールドネットワークが必要なのでしょうか?
答えは「工場のデジタル化をするため」です。
工場のデジタル化により、設備機器の一元管理や予知保全などを対応する為に様々な情報を設備からリアルタイムに収集する必要がでてきました。
そのため、センサー側も現在のエア流量や圧力などの情報をリアルタイムで発信する機能が必要となるのですが、従来の3線式などによるオンオフの入出力だけではそれは不可能でした。
そこでセンサーをフィールドネットワークに接続しネットワーク通信することによって、上記の様々な情報をセンサ⇔PLC間で行き来させることが出来るようになるのです。
例えば…
分かりやすく身近にあるプリンターで例えると、プリンターのインクや紙の残量を知りたい場合、ネットワークに繋いでないプリンターは直接プリンター本体まで行き目で見て残量を確認するしかありません。
しかしネットワークに繋いでるプリンターであれば、自分のPCからネットワーク経由で残量確認をすることができます。(それも複数台を一気に!)
フィールドネットワークも同じようなイメージですね。
フィールドネットワークのメリット
フィールドネットワークにすることで様々なメリットが生まれます。
フィールドネットワークのメリット
・省配線
・ケーブルの共通化ができる(メンテ向上)
・リアルタイムなデータが手に入る
省配線
目に見えて実感できるのが省配線化です。
通常のセンサーは電源線や入出力線などの線が3〜4本出ています。しかしフィールドネットワーク化することで、この配線が1本だけになるので配線工数も短縮できます。
3線式について知りたい方は、以下の記事をご覧ください
ケーブルの共通化ができる(メンテ向上)
フィールドネットワークにすれば、どのメーカーのセンサーでも共通のケーブルが使えます。
このケーブルはセンサーの種類が違っても同じなので、1種類のケーブルを在庫に持っているだけで様々なセンサーに使うことができます。
保守性が良くメンテナンスも容易になるので、生産工場側にもメリットとなります。
リアルタイムなデータが手に入る
ネットワーク通信になることで、リアルタイムに情報収集することができます。
先程も述べた流量の現在値や圧力値のほかにも、機器の稼働時間、機器の寿命なども取得することができます。
生産工場では毎朝、設備の圧力計などの各センサーの現在値をチェックシートなどにチェックをしますが、センサー数が多いとこの確認作業にかなりの工数が取られてしまいます。
フィールドネットワークを利用すれば、1台のPCで全てのセンサーの現在値の確認を行うことができ、毎日の工数削減になります。
最後に
このようにフィールドネットワークを利用することで多くのメリットが生まれます。
フィールドネットワークには種類が沢山あり、センサーレベルだけでも「CC-Link」「IO Link「Ethernet/IP」「EtherCAT」「DeviceNet」といった種類があります。
これらの性能は似たようなものですが、国や工場ごとにお気に入りがあるので、仕様書などを通じてそれに準じたものを使用することになると思います。(すみません、私自身フィールドネットワークの種類の違いはよく分かってません…)
もっと詳しく知りたい方は次の日経クロステックのコラムをご覧ください(無料のユーザー登録が必要です)
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